医療法人 医仁会
さくら総合病院

Sakura General Hospital

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頚椎性めまい外来Topイメージ

頚椎性めまい外来

診療科目
専門外来
場所
C棟2階
[脳卒中脊椎脊髄センター]
診療ポイント
  • 頚椎の変形や圧迫などによる脳血流の障害で起こるめまいを、最近の画像検査により診断し適応のある症例に対し、低侵襲な手術によってめまい症状を改善する治療を行なっています。
担当医師
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難治性めまいは頚椎から?

頚椎症による椎骨脳底動脈循環不全症

めまいを訴えて外来を受診する患者さんの多くは耳鼻咽喉科、内科、神経内科、脳神経外科など多くの診療科を受診しても、めまいの原因に関して確実な診断ができていないことも少なくないのが現状です。

当科では、頚椎の変形や圧迫などによる脳血流の障害で起こるめまいを、最近の画像検査により診断し適応のある症例に対し、低侵襲な手術によってめまい症状を改善する治療を行なっています。頚椎症めまい外来で行なっている検査方法や異常が発見された場合の手術方法などを紹介いたします。

めまいが起ったときに考えられる原因として、「メニエール病」、「良性発作性頭位めまい症」などがよく知られている疾患ですが、ほかにも「起立性低血圧症」や「脳動脈硬化症」などいろいろなめまいを起こす病態が知られています。耳鼻科では平衡機能検査などを行い診断します。神経内科・脳神経外科では頭部CT検査、頭部MRI、MRA検査などの検査が通常行なわれています。これらの検査を受けても原因がはっきりしないめまい症は少なくないように思われます。

特に寝起き時に起る天井がぐるぐるまわる回転性めまいは首に原因があるともいわれますが、頚椎にどのような病態が起ったときにめまいが生ずるのかについてはよく知られていません。まためまいを訴える患者さんに対してはCTやMRI等の画像検査もほとんど行なわれていません。このような患者さんでは肩こりなどを伴うことも多く、また頚椎に頚椎症性変化を伴っていることが多いようです。頚椎症ではなぜめまいが起るのでしょうか。


頚椎、椎骨動脈の解剖

[ 頚部の椎骨動脈 ] 図1 - a

頚部の椎骨動脈
  • 頚椎内には左右1本ずつ椎骨動脈がありそれがほかの体の動脈と比べ特異な走行をしています。

    椎骨動脈は第2頚椎から第7頚椎の間では横突起孔内をトンネル状に走行しています、この左右の椎骨動脈は頭蓋内に入ってから合流し1本の脳底動脈となり、脳、特に脳幹や小脳に血液を送ります。(図1-a)

  • 通常頚椎症では椎体後縁部の骨棘形成により脊髄や神経根を圧迫し四肢のしびれ、痛み、運動障害を来すことがあります、それぞれ頚椎症脊髄症、頚椎症性神経根症と呼ばれています。


[ 椎骨動脈とルシュカ関節、横突起孔 ] 図1 - b

椎骨動脈とルシュカ関節、横突起孔

[ 正常なルシュカ関節(図2-a)]
[ ルシュカ関節の骨棘形成による椎骨動脈の圧迫(図2-b)] 図2

正常なルシュカ関節とルシュカ関節の骨棘形成による椎骨動脈の圧迫

椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)とは

椎骨脳底動脈の循環が一時的に悪くなり、脳幹部の虚血状態を来たすとめまいや嘔気、嘔吐などの症状が現れます。ひどいときは意識障害もきたします。この脳幹部の一過性脳虚血状態によりめまい発作を繰り返す状態を椎骨脳底動脈循環不全症(VBI:Vertebrobasilar Insufficiency)と呼びます。

原因としては椎骨脳底動脈に動脈硬化を来たし発症することもありますが、椎骨動脈が横突起孔内を走行するため頚椎症による骨棘などにより椎骨動脈が圧迫され脳幹部が虚血状態となり、めまいが生ずる状態を頚椎症性椎骨脳底動脈循環不全症と呼びます。

頚椎症の変化が椎体の側方部に生ずると骨棘が椎骨動脈の方向に伸びることがあります。この部をルシュカ関節(鈎椎関節 uncovertebral joint)、その先端部を(鈎突起 uncinate process)と呼びます。

この変化のため横突起孔内では椎骨動脈はより狭くなったトンネル内を走行することになります。


起き上がるような動作で頚椎が前後左右に動くことにより横突起孔がさらに狭くなり椎骨動脈への圧迫が強くなりめまいなどの症状が出ますが、頚を元の位置に戻すことにより椎骨動脈の圧迫は前の状態に戻り、脳幹部の虚血状態も解消し症状も消失します。

これを繰り返している状態が頚椎症性VBIと考えらえます。左右の椎骨動脈の太さは人により異なり太い方の椎骨動脈が圧迫されたり、左右の椎骨動脈に同時に圧迫が起ると脳幹部の虚血がより強く起り一過性の急激な意識消失(失神)を来たし事故などの原因になります。

従来VSIは脳動脈硬化症によるものが多いと考えられてきましたが、最近の画像診断の進歩により頚椎症によるVBIも少なくないことがわかってきました。

症状

起き上がったり、寝返りをしたときなど頚部の動きに伴って急に起こるフワーとするめまい、また天井がグルグルまわるような回転性めまいが起こります。また、ふらつきを訴える患者さんもいらっしゃいます。一過性の意識消失や転倒などに伴う頭部外傷もみられます。

めまいの症状

診断

頚椎X線撮影正面像、頚椎3DCTでルシュカ関節が側方に突出している。
( 図3 - a )

頚椎CT正面断層像で横突起孔と横突起孔との距離が狭くなっている状態を調べる。

頚部MRAで椎骨動脈の圧排、時に狭窄像がみられる。( 図3 - b )( 図4 - a )

頚部3DCT血管撮影で骨棘と横突起孔に挟まれた椎骨動脈の状態を確認する。
( 図4 - b )(図5 - a b)

図3(a・bは同一症例)

頚椎3DCT

図4(a・bは同一症例)

頚部MRA

図5(a・bは同一症例)

頚部3DCT血管撮影

手術適応

頚椎症によるVBIは決してまれな状態ではなく、体動時にふわっとするめまいを訴える患者さんのなかでかなりの率を占めているように思われます。

これにより脳梗塞など重篤な脳障害を引き起こすことはあまりなく、症状が軽いうちは頚部の安静(頚を急に動かさない)など、また通常のめまいに対する薬物療法も効果があることもあります。

多くの患者さんは保存的な治療の対象です。しかし我慢できない激しいめまいまた長期間繰り返し続くめまい、意識障害を伴う場合は手術の適応と考えられます。

手術適応

手術方法
ルシュカ関節先端部切除による椎骨動脈減圧術

全身麻酔下、手術顕微鏡下に手術します。比較的低侵襲な手術です。

圧迫のある側の頚部の皮膚上に4cmほどの横切開を加えます、頸椎前面に達したら、 ルシュカ関節の先端部の骨棘を手術顕微鏡下に切除し椎骨動脈の除圧を行います。

広い範囲の除圧が必要な場合は横突起の一部も切除します。

図6(同一症例)

切除前と切除後

椎骨動脈は皮膚表面から比較的近いところにあり比較的到達しやすく、
また骨切除のみで十分であり、通常の血管手術のように血管に切開を加えたり、一時的な血流遮断は行なわないので術中出血もあまりなく、脳梗塞のような重篤な手術に伴う合併症はありません。

頚椎固定術も行ないません。( 図6 a b )

図7 (a・b・c・dは同一症例)

術前MRAと術後MRA
術前3DCT造影と術後3DCT造影

手術に伴う問題点、合併症

頚部にはいろいろな組織があり注意深く手術しますが、特に椎骨動脈を傷つけないようにすること、近くにある神経根に注意して行います。 頚椎症が多椎間にありどの部位が症状を呈しているのかはっきりしないことがあります、疑わしい場合は複数箇所の骨棘の切除を行います。また左右の椎骨動脈に圧迫を認めどちらの椎骨動脈が症状を出しているのか迷うことがあります。満足な除圧が行えないとめまい症状が完全に消失しないことがあります。また後日対側の椎骨動脈の除圧が必要になることもあります。(図7 - a b c d )

その他(Q&A)


Q.受診方法

A. 頚椎症めまい外来は予約制です。電話で予約してください。

0587-95-6711


Q.診断期間

A. CT・MRIなど複数の検査が必要ですができるだけ1日で終わるようにしています。


Q.手術時間

A. 複数個所などにより変わりますが通常は2-3時間程度です。


Q.治る早さ


A. めまいは手術術後すぐに消失することもあり、数日以上かけてよくなることもあります。

Q.入院期間


A. 基本的には1週間以内です。※入院案内のページ[リンク]

Q.術後


A. 翌日より歩行でき、退院後すぐに通常の生活に戻れます。
術後に頚部カラーは使用しません。

Q.詳細


A. 文献のコピーをPDFリンク先よりダウンロードしてご覧ください。

文献


山田博是
頚椎症による椎骨脳底動脈循環不全症(PDF版) ダウンロード
尾北医報 278 29-35,2007


コラム

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ご不明な点は、お気軽に当院スタッフまでお問い合わせください。
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脊椎脊髄センター・担当医師

頚椎性めまい外来

  • センター長 山田 博是

    脊椎脊髄センター長|山田 博是
    学位・専門医
    医学博士
    日本脳神経外科学会専門医
    日本脊髄外科学会名誉指導医
    所属学会
    日本脳神経外科学会
    日本脊髄外科学会
    経歴
    昭和12年10月 愛知県で出生
    昭和37年03月 名古屋大学医学部卒業
    昭和39年07月 米国ミシガン州ヘンリーフォード病院脳神経外科レジデント
    昭和41年07月 米国アイオワ州立大学脳神経外科レジデント
    昭和44年07月 愛知県心身障害者コロニー中央病院脳神経外科医長
    昭和50年05月 名古屋大学脳神経外科助手、講師、助教授
    昭和59年02月 中部労災病院脳神経外科部長
    平成03年01月 愛知医科大学脳神経外科助教授
    平成06年06月 稲沢市民病院脳神経外科部長、副院長、院長
    平成18年04月 稲沢市民病院名誉院長
    平成18年04月 さくら総合病院 脊椎脊髄センター長