医療法人 医仁会
さくら総合病院

Sakura General Hospital

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新年のご挨拶 病院長 小林 豊

「守り抜く大義」「求められる変革」


さくら総合病院長 2018年ご挨拶

新年の挨拶は「前を向いた」展望や抱負を述べるものである。では、「前がどっちか」を間違えていたのでは、病院という大きな船は正しく進むことができない。そのためには、今まで向いてきた「前」が正しかったのかどうかをよく見極める必要がある。この「過去の『前』」をよく理解して認識することは、本当に正しい「前」を向くのに欠かすことができず、これを検討することは、決して後ろ向きなことではなく、むしろ前向きであり、『温故知新』とも言えるであろう。過ぎし一年を振り返ると、当院のこれまでを冷静に問われ、考える一年であった。当院は創業の1980年より、直向きに医療問題や社会問題に向き合って邁進してきた。この医療の大義だけを追求したのでは認められない世知辛い世の中になってきた。


さくら総合病院長 2018年ご挨拶

他の業界から端を発し、医療業界においても、時間外労働の適正化や休日の確保は最優先事項になった。これまでの日本は、サービス残業やサービス出勤や休日返上といった、「昔の優等生」と評価されるキーワードが、各業界を支え、日本の高度成長期とこれまでの日本経済を支えてきた。これらは「昔の優等生」の気合いと根性の上に成り立った社会の成長であった。私自身、これらのキーワードを具現化するような生活により、国立がんセンター中央病院や大学病院や公的病院の診療を支えてきた。このような、今となってはminorityである「昔の優等生」を基準に成り立ってきた社会から、この気合いと根性のないmajorityを基準にした新しい社会は、上記のキーワードを擁する企業を『ブラック企業』と呼ぶようになった。労務環境の基準が完全にひっくり返った訳である。時代を同じくして、労務環境以外の様々な基準が刷新され、古き良き時代に「よし」とされたことが許されなくなったのである。


さくら総合病院長 2018年ご挨拶

当院においても、このような時代の変革を、様々な角度から指摘され、古き良き時代からの決別を迎えたのである。来たる年度には、当法人の事業規模では、外部監査が義務化され、上場企業と同様の扱いとされることにより、運営や管理、そして経営までも今時の大企業に準拠したものとなることを求められている。均てん化という大義によりやる気のある人の機会を奪い、働く者の間の能力差を打ち消してしまう現代のやり方には、いささか疑問や問題も指摘されているが、この世の中の流れは大きく、全くもって逆らうことのできない潮流である。この潮流に乗ってうまく泳ぐことのできる医療機関のみが生き残ることを許されるのである。医療業界は、他業界に比べて群を抜いて人手が必要な業界であることはよく知られている。そのような中で、この求められる労務環境の変革は、各医療機関の人件費を増加させ、経営を苦しめているのが現状である。


さくら総合病院長 2018年ご挨拶

厚生労働省は、2025年(7年後)には全国のベッド数の約1割にあたる15.6万ベッドの病床が余るため、削減する必要がある、としている。当院は通年で病床稼働率が90%を超えており、この地域医療において担っている役割は大きく、既存のベッド数を維持した上で、さらに効率のいい病床の回転を求めていかなくてはならない。そのような中で、最重要とすべきなのは、患者さんの満足度の向上である。これはさらに地域の診療所やクリニックからの信頼につながるため、注力する必要がある。結果的に、当院が創業より守ってきた「患者さんのために」「地域・社会のために」というスピリットはこれからも寸部も変わることなく踏襲していくことが求められる。過去と違うのは、運営と管理のシステム構築と経営とのすり合わせにより、このスピリットを担保するものとなり、生き残りという消極的な発想ではなく、さらなる発展につなげ、さらなる社会貢献を推進する企業としての役割を発揮していくのである。この歴史ある当院のスピリットに新しいシステムの融合を通じて進めていく、さくら総合病院のチャレンジにご期待ください。

[Human2018年1月号特集より抜粋]