帯状疱疹は3人に1人がかかる――帯状疱疹ワクチンのすすめ
皆さんは「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」という病気をご存じでしょうか。
これは、かつて水ぼうそうにかかったことのある方なら誰でもかかる可能性のある疾患です。
水ぼうそうのウイルスは治った後も体内の神経に潜伏しており、加齢やストレスなどで免疫力が低下したときに再活性化し、帯状疱疹として現れます。80歳までに3人に1人が発症することが知られており、実はありふれた疾患なのです。
帯状疱疹の特徴は、皮膚に出る赤い皮疹・水疱と強い神経痛です。痛みは時に耐え難く、皮疹が治った後も「帯状疱疹後神経痛」という形で長期間続くことがあります。急性期にはズキズキした痛みから不眠になることも多く、さらに水疱は潰瘍化し皮膚がえぐられるので外用薬による治療が必要となります。
皮疹が治っても疼痛が続くことがあり帯状疱疹後神経痛と言われます。神経痛の表現は難しいのですが、例えば肘を打った時に指先にかけてビーンとしびれるような痛みを経験したことはありませんか?
その痛みが日中続き、人によっては焼けるような感じがしたり、触れただけで強い痛みが出たりする、それが帯状疱疹後の神経痛です。これは生活の質を大きく低下させる厄介な後遺症で治療も難しいため、何よりも予防が重要です。そこでお勧めしたいのが「帯状疱疹ワクチン」です。
現在、日本では主に2種類のワクチンが使用されています。一つは生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)、もう一つは不活化ワクチン(シングリックス)です。特にシングリックスは、高い予防効果が認められており、10年以上にわたって帯状疱疹や神経痛を高率に防ぐことができます。
帯状疱疹は50代から発症率が増加してゆきます。特に注意が必要なのは、糖尿病や心疾患などの持病をお持ちの方、また高齢者です。帯状疱疹の発生リスクは糖尿病で2.38倍になり重症化例も多いことが報告されています。基礎疾患のある方は免疫力が低下している場合が多く、帯状疱疹のリスクが高まっています。
2025年から帯状疱疹ワクチンが定期接種になりました。事前のワクチン接種でそのリスクを大きく下げることができます。「予防は治療に勝る」という言葉のとおり、ぜひ帯状疱疹ワクチン接種をご検討ください。
ご不明な点があれば、当院皮膚科までお気軽にご相談ください。