さくら総合病院 医療コラム
声なき問いに、
科学で応える

声なき問いに、科学で応える――大切な人の「なぜ」に、光を灯すために

初めまして。
さくら総合病院 死因究明センター長の小澤周二と申します。

私は長年にわたり、法医学という専門分野で活動してまいりました。法医解剖、死後CT検査(Ai)、死体検案などを通じ、数多くの「いのちの最期」と向き合ってきた経験があります。2025年1月には、当院に新たに設置された死因究明センターの責任者として着任し、地域の皆さまの安心と信頼に応える医療を提供すべく、日々尽力しております。

私がこの仕事を通じて痛感しているのは、突然大切な人を失ったご遺族が抱える「なぜ」という問いの重みです。その問いは、深い喪失を受け止め、前に進むために必要な心の叫びなのです。
しかし、ここ愛知県では、残念ながら多くのご遺体が死因不明のまま見送られている現実があります。その声なき問いに、医学の力と誠意で応えることこそ、私たちの使命です。
死因究明は、亡くなった方の尊厳を守る「最後の医療」であると同時に、ご家族の未来を守る「はじまりの医療」でもあります。

当センターでは、体に傷をつけずに原因を調べる死後CT(Ai)検査を積極的に活用し、ご遺族に客観的な事実をもって丁寧な説明を行うことを大切にしています。
死因を知ることは、悲しみを癒す第一歩になり得ます。決して無理に忘れるのではなく、“納得して見送る”という選択を支えたい。その思いで、私たちは一人ひとりの故人と、ご遺族に寄り添っています。
もし、大切な人を亡くし、心に「なぜ」が残っているなら――。どうぞ一人で抱え込まず、その思いを私たちに預けてください。共に答えを探し、あなたの心に小さな光を灯すことが、私たちの願いです。

 

死因究明センター長
学位・専門医
博士(医学)
日本法医学会 法医指導医
大阪府監察医

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